私たちは日々の生活の中で、多くの選択をしながら生きています。
この仕事をする、これを食べる、出かける、人生を左右する大きな決断をする。
このような選択をする時、あなたの基準は「自分」で決めたものですか?それとも「他人」の期待や評価に基づいたものになっていませんか?
心理学では、この基準の置き場所がどちらにあるかによって、「自分軸」または「他人軸」と表現します。
この記事では、次のような悩みを持つ人に役立つ記事となっています。
- 自分軸と他人軸の違いが分からない
- 自分はどちらなのか知りたい
- 他人軸をやめて自分軸で生きたい
まずは、「自分軸」と「他人軸」の特徴や違いを理解し、改善策と自分軸で生きれるようになる方法について解説していきます。参考にしていただければ幸いです。
ぜひ最後まで読んでみてください。
他人軸とは?
他人軸の定義
他人軸とは、自分の行動や物事の判断基準の中心が、「他人」の評価や価値観に基づいている状態を指します。
簡単にいえば、他人の意見や期待を最重視する考え方です。
他人軸の特徴
他人軸は、全ての判断基準が「他人ありき」になってしまっているのが特徴です。自分の本当の気持ちを無視してまで他人の気持ちを聞き入れるので、自己嫌悪に陥りやすく、悪い結果が起きると自分に価値がないかのような気持ちになってしまいます。
また、嫌われることを極度に怖がり、自分の気持ちを他人に伝えることも避けてしまいます。その結果、相手に理解してもらえる機会も減り、人間関係の構築が苦手になってしまいます。
このように、「他人軸」は、まるで他人の人生を歩んでいるかのような錯覚に陥り、数々の悩みを生み出します。では、なぜそのような思考になってしまうのでしょうか?次では、その背景についてみていきます。
他人軸になってしまう背景
このような状態が続くと、自分の本当の気持ちがわからなくなり、人生が他人ものであるかのように感じてしまいます。
- 幼少期の習慣
親の前や学校で「良い子」でいることで褒められた経験があると、もっと褒めてほしくて親の期待に応じた自分を演じるクセがついてしまいます。 - 周囲からの過度の期待
親や、学校、会社など、「他人」からの期待を受けることで、「期待に応えなければならない」といった思考が生まれます。特に、責任感の強い人や真面目な人に多く見られます。また、期待に応えられなかった時に、がっかりされたり、幻滅された経験があると、自分は価値がないんだと思い込みすく傷つくこともあります。次こそはと頑張るうちに、期待に応えることが第一になってきます。 - 承認欲求
人は誰しも「認められたい」という気持ちを持っています。これを承認欲求と呼びます。これは決して悪いことではありませんが、他人からの評価に依存しすぎると、自分軸が育ちにくくなる原因になります。 - 過去に傷ついた経験がある
嫌われてしまった経験や、もう失敗したくないという思いが強いと、自分の意見を言えなくなってしまったり、行動ができなくなったりしてしまいます。 - 自分への信頼の低さ
自分のことを信じることが苦手だったり、自己肯定感が低い場合、自分より他人の意見を尊重しやすくなります。

人間は本能的に「他人軸」になりやすいみたいです。
なぜなら、人間は集団の中で生きる生き物です。特に日本社会は協調性を重視する傾向があるので、他人の意見に耳を傾けるのが優しさや、道徳とされています。
また、SNSの普及で、他者の意見に左右される人も多くなったのが「他人軸」になりやすい理由の一つかもしれません。


ここまでは、他人軸についてを解説してきました。では、私たちが目指すべき「自分軸」とはいったいどのようなものなのでしょうか?
自分軸とは?
自分軸の定義
自分軸とは、判断や行動の基準が「自分の価値観」や「欲求」にある状態です。
今やりたいこと、選びたいものを自分の気持ちに素直に従って選ぶ考え方です。
自分軸の特徴
自分軸は自己中心ではありません。自分の感情と相手の感情を分けて考えられる人です。他人の意見も聞き入れますが、あくまではそれは他人の一意見として受け止めます。自分の決断や判断に強い意志と責任を持っているので、簡単に気持ちが揺らぐことはありません。その結果、他人軸に比べるとストレスも感じにくく、心が安定しているのが特徴です。
揺るぎない「自分軸」を持つことで、ぶれない心や主体的な生き方ができるようになります。
自分軸になると得られるメリット
他人と比較が減る
自分の考えや気持ちが基準になるので、他人と比較することが少なくなります。その結果、比較対象が自分になるので、自分自身の成長と向き合うことに集中でき、他人との比較によって落ち込むこともなくなります。
人間関係のストレスが減る
自分と他人との境界線をうまく引くことが出来るので、「自分は自分」「他人は他人」と考えることが出来ます。また、他人の考えや相手の顔色を伺うことが減るので他人に左右されることもありません。そして、嫌われることを恐れなくなるので、行動に制限がかからなくなります。
自分軸では、自分の本当にやりたいことを他人に否定されて、気持ちが揺らいだり、傷つくことも減ります。また、他人に寛容になるので、人間関係にストレスを感じることが減るようになります。
自分の人生を歩める
そして、なによりも自分軸になると、自分の責任で判断できるようになるので、自分で選択して自分の道を歩むことが出来ます。正しさも、間違いもすべて受け入れて「自分らしさ」を手に入れることができます。
他人軸から自分軸になると、悩んでたことが嘘のように変わりそうですね!しかし、私たちには今までの経験が活きているので、明日からいきなり変わることは簡単ではありません。自分のペースで一歩ずつ自分軸に変えていってみましょう。
では、具体的にどのような行動を取ればいいのでしょうか?次の項目では、他人軸から自分軸に変えていく方法をご紹介します。
他人軸から自分軸へ変えるには?
自分の感情を知る
自分軸を育てるには、まずは自分軸の土台から形成していきましょう。具体的には、自分の感情を知る力です。感情はあなたの心のコンパスです。
- 嬉しかったこと
- 楽しかったこと
- 嫌だったこと
- 悲しかったこと
必ず、心が揺らいだ経験はあるはず。その時の感情を思い出して、「なぜそう思ったのか?」を深く考えてみてください。どんな時に、どんな感情が動いたのかを気づいてあげると、自分軸を知る一歩になります。
「私はどうしたい?」と本当の気持ちを聞いてみる
他人軸が習慣になっていると、他人の気持ちを一番に考えたり、優先することが当たり前になっています。そんな時は、一旦他人の気持ちは置いておき、「私はどうしたい?」と優しく問いかけてみてください。今まで気づかなかった、本当の気持ちに気づくきっかけになるかもしれません。
自分の価値観を言語化する
自分軸を構築するには、価値観を知ること、そして言語化することが大事です。
自分が何を大切にしたいのか、声に出してみたり、紙に書き出してみるのがいいでしょう。
- 自由な時間を大切にしたい
- 何事にも挑戦したい
- 安心感を大事にしたい
自分にとってのキーワードを探すと、価値観が分かってきて、選択に迷いがなくなります。
小さな選択を自分で決める
相手の気持ちを優先することを少しやめて、あなたの本当の気持ちにそった選択をしてみましょう。まずは日常の小さな選択をして、自分で決める練習をするのがおすすめです。
- 今日何を食べたいか決める
- 本当は行きたくない約束を断ってみる
- やりたくないことを今日はやらない
自分の気持ちを優先しても大丈夫なんだと、安心感を持てるようになるのが目的です。
嫌われる勇気を持つ
全ての人から好かれることは不可能です。どんな偉人も、尊敬できる人でも、必ず一定の人から良く思われていません。顔色を伺って頑張る人より、嫌われても構わない、と思って自分らしく生きている人の方が本当の信頼を得やすいのです。あなたの本当を出してもそばにいてくれる人と、この先を歩む人生の方が楽しいと思いませんか?
筆者も嫌われることがめちゃくちゃ怖い人間でした。いつも他人の顔色を伺って、嫌われないように嫌われないように頑張っていました。その結果、自分の気持ちがどんどん分からなくなり、絶賛「他人軸」人間になってしまいました。「どんなに嫌われないようにしても、やはり一定数からは嫌われるんだ。」と身に染みて思いました。結果的に、嫌われないようにする努力が無駄だったということが分かりました。
他人軸の人は、やらなくていい努力をしている頑張り屋さんです。これなら疲れるのも当然です。
嫌われる勇気を持てば、それでもそばにいてくれる人に出会えます。少し、勇気を出して前に進んでみてください。
まとめ
この記事では自分軸と他人軸との違いについて書いてきました。自分軸は理想的ではありますが、簡単に変えれるものではありません。以下のポイントを意識して少しずつ、自分軸に近づけるように取り組んでみてください。
- 他人軸・・・他人の意見や期待を重視する考え方
- 自分軸・・・自分の気持ちに素直に従って行動する考え方
他人軸は決して悪くはないですが、行き過ぎると自分を苦しめる原因になります。
そして、自分軸は決して自分勝手に生きることではなく、自分も他人も尊重して生きる生き方です。そこだけは履き違えないように注意してください。
自分の感情や気持ちに気づいてあげることは、自分に寄り添うことでもあります。ぜひ大切にしてみてください。

