普段の生活の中で、「この人は苦手かも」そんな風に感じる瞬間は誰しもあるのではないでしょうか?
それは職場や学校、友人関係などいたるところで起こります。
では、なぜ「苦手」をいう感情が生まれるのでしょうか。
今回は、その「苦手」という感情が生まれる心理的な背景についての記事になります。
苦手が生まれるメカニズム
予測と一致しない不安感
人間の心理は、過去の経験をもとに未来を予測することでできています。
この予測は身の危険を守ったり、私たちの行動や思考をスムーズにするために必要ではありますが、その予測が外れると人は強い不安を感じます。
例えば、「この人はきっとこんな反応をするだろう」と無意識に期待していることがあります。
しかし、相手がその予測と異なる反応をしてきたとき、私たちはその反応に強いストレスを感じるのです。
この、予測と一致しない幅が大きければ大きいほど、苦手を感じるとされています。
例:
「私が頑張ってやった仕事だから評価してもらえるだろう」と思って上司に褒められることを予測していた場合、実際は否定されることによって強い不安やストレスを感じ、苦手意識が起こります。
投影と自己の不安
「この人は苦手だ」と感じる相手が、実は自分自身の中にある不安や恐れを反映していることがあります。
これは心理学でいう「投影」というメカニズムです。投影とは、自分が持っている感情や思考を他人に押し付けることを指します。自分の中にある感情や欲望を相手に投影することで、「あの人がそう思っているんだ」と思い込んでしまうのです。
例:
あなたが自分に自信がない場合、「自分はなんでこんなこともできないんだ」と感じているとします。
仕事で失敗し、ため息をつく上司を見て「なんでこんなこともできないんだ」と思っているに違いないと、相手が自分のことをそう思っているように感じるのです。
コミュニケーションの違い
コミュニケーションでの伝え方の違いにおいても、苦手意識を引き起こす要因になります。
例えば、分かりやすく伝えたいために直接的な表現で物事を伝えることを好む人がいます。
しかし、一方では穏やかにコミュニケーションを取ることを重要視していて、柔らかな表現で物事を伝えることを好む人もいます。
そうしたお互いの考え方の違いで、相手に対し苦手と感じやすくなるのです。
過去の出来事やトラウマ
過去に経験した、嫌だと感じた出来事やトラウマも「苦手」という感情に強い影響を与えます。
例えば同じようなタイプの人から嫌な思いをしたり、同じような場面で嫌な気分になった経験がある場合は、似たような場面に遭遇すると「苦手」を感じるようになります。
これは「条件付け」や「感情的反応」と呼ばれる心理的メカニズムで、過去の痛みが無意識に再現されてしまうのです。
例:
気が強い上司や先輩から厳しく叱られた経験がある場合、同じように厳しい言葉をかけてくるような人に遭遇すると、強い苦手感を抱くことがあります。
これは過去の記憶が、現在の相手と重なり、不安や抵抗感を呼び起こしているのです。
では、その苦手とどのように向き合うことが良いのでしょうか?
苦手との向き合い方 5選
苦手を感じる原因を見つめなおす
まずは、なぜ苦手なのかを自分自身でしっかりと考えてみましょう。苦手という感情の深い部分には心理的な背景があることが多いです。
その原因を解決することが、問題解決への第一歩です。
「この人の何が苦手なのか?」「どんなことを苦手と感じるのか?」
感情を言語化してみて、特に嫌だと感じる部分について考えてみましょう。そこには、過去のトラウマや投影からきているものが隠れているかもしれません。
相手を一度理解しようとしてみる
苦手と感じる相手には、ついつい「理解できないな」「自分とは違う」と決めつけてしまうことが多いもの。
しかし、相手を理解しようとすることで、苦手意識を少し和らげることができます。相手の行動の動機や背景を考えることで共感を生み、関係が改善することがあります。
上司や先輩が厳しい態度をとる場合、できない自分を責めるためではなく、その人自身もプレッシャーを感じている為にストレスを抱えているのかもしれません。
相手の立場になって考えてみることで、見え方も違ってくるのではないでしょうか?
自分の感情に向き合う
苦手な人や状況に直面した時、自分の中に湧き上がる感情をしっかりと受け入れることも重要です。
感情を無視したり、無理に抑え込もうとするとそれがストレスとなり、自分の心や体に悪影響をもたらせます。
自分の感情を紙に書き出すことで、自分の思考や心の整理ができます。
「なぜその人が苦手なのか」「なぜその感情が湧いてきたのか」を書き出し、自分の内面と向き合うことで解決へと結びつくことがあります。
苦手を受け入れる
心理学のアプローチとして、苦手を「受け入れる」ことがあります。
自分が苦手に思うことを無理に変えようとするのではなく、それを「受け入れる」ことでストレスを減らすことができます。
苦手な人がどうしても変わらない場合、その人を「そのままで受け入れる」ことも大切です。
この人はこう人なんだとその違いを認め、尊重することで苦手意識を和らげることができます。
心理的距離を保つ
どうしても苦手な人と接しなければならない場合、心理的に距離を保つことも一つの方法です。
相手の言動に過剰に反応せず、冷静に対応することで苦手意識を減らす手助けになります。
まずは、相手の行動に感情的に反応しないように意識してみましょう。
苦手な人に対して過度に期待をすると、その通りにならない場合ストレスになります。
この人はこういう人だからと一定の距離をもって接することが重要です。
まとめ
「苦手な人」や「苦手な状況」は日常生活において誰しもが経験するものです。
それにどう向き合うかで自分自身の成長や、人間関係の改善につながります。
自分だけでなく、相手を理解しようとすることでストレスを減らし、より良い関係を築いて行けるかもしれません。

