2013年12月に発売され、世界累計売上1350万部を記録した【嫌われる勇気】
12年以上にわたりロングセラーを記録している作品です。
この本は自己啓発書の源流であるアドラー(アルフレッド・アドラー)の教えを岸見一郎・古賀史健が解説したものです。
自己啓発書の代表でありながら、まだ読んだことがないという人も多いはず。筆者もその中の一人でした。
今回はなぜこの本が今も売れ続けているのか、内容を通して紹介していきます。
作品名:嫌われる勇気
著者:岸見一郎・古賀史健
出版社:ダイヤモンド社 (2013年12月12日発売)
ページ数:294ページ
「嫌われる勇気」という衝撃タイトル
まず、書店に並んでいて一番に目に入る青い表紙、そして「嫌われる勇気」という文字。
嫌われる?勇気?誰だって嫌われたくない。何を言っているんだ。思わず手に取ってしまうタイトル。
間違いなくこの言葉がロングセラーの入口になっているのではないかと私は思います。
本の要約
「かつて1000年の都と謳われた古都のはずれに、世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる、と説く哲学者が住んでいた。納得のいかない青年は、哲学者のもとを訪ね、その真意を問いただそうとしていた」
哲学者に持論を撤回してもらうべく、青年は哲学者に迫った。哲学者の受け入れがたい発言に青年は反発を重ね、幾度となく議論をすることとなった。
哲学者の説得力のある「アドラーの教え」により、いよいよ青年は納得し、新たな一歩を踏み出すという話。
印象的なアドラーの教え
なんといっても、作品中に出てくるアドラーの教えの数々がとても印象的だということ。自己啓発書では、心に響くような重要な言葉というものは多くても10個。しかし、この本は違います。筆者も読みながら付箋を貼っていったのですが【27】個でした!倍以上!もちろん厳選しております。
今回は、その中でも特に印象的だった名言をピックアップしていきます。
アドラー心理学では、トラウマを明確に否定する。P29
心理学の世界でよく登場する、過去の環境や経験によって性格や考え方が変わってしまうという考えを見事に打ち破りました。アドラーによると、過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって自らが選択を下しているというのです。
例えば、引きこもりの人がいた場合:不安だから→外に出たくないと一般的に考える部分では、【外に出ない】という目的があって【不安や恐怖】を作り出す。外に出ないことによって起こる親へのあてつけが目的となり、外に出ない選択を自らしていると唱えています。
大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである P44
人はよく他者と比べてしまう生き物です。あの人はあんなこともできるのに、自分は何も持っていない。「あの人みたいに幸せになりたい」、「あの人みたいになりたい」。そう考えてしまうのは自分に何が与えられているかということばかりに注目しているからなのです。
アドラー心理学ではあなたが「不幸」だと感じるなら、それは自らが「不幸である」ことを選んだことになります。同じように自分の嫌いな性格さえも自分で選んだのだということになります。
あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているから P51
変わりたいのに変われない。あなたは同じことを繰り返していませんか?変わりたいと思いながらも結局変われないのは、いろんな不都合や不満はあったとしても「このままの私」である方が楽であり安心だと思っているからなのです。新しいことに挑戦する、転職をする、変わりたいと思っても私たちの足を引っ張るもの。それは「勇気」。アドラー心理学でも必要なのは勇気です。幸せになりたいのなら、「幸せになる勇気」を持つこと。
人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである P71
どんな種類の悩みであれ、そこには他人が存在する。他者と比べるから劣等感が生まれる。
しかしここで勘違いしてほしくないのは、「劣等感」と「劣等コンプレックス」を混同しないこと。
本来、劣等感は自分の中で現状に満足していないから先に進もうとする正常なものです。努力や成長を促すきっかけにもなるので、劣等感を抱くこと自体は何の問題もないのです。
一方で「劣等コンプレックス」は自らの劣等感を言い訳に使いはじめた状態のことを言うのだそうです。すなわち、他者と比べたときに生まれる劣等感は「劣等コンプレックス」ということになります。
「人々は私の仲間なのだ」と実感できていれば、世界の見え方は全く違ったものになる P99
「幸せそうにしている人を見ても、心から祝福できない」そう感じたことはありませんか?
これは対人関係を競争として考え、他者の幸福を「自分の負け」であるかのようにとらえていることが原因なのだそうです。競争の図式から解放されることで、負けるかもしれないという恐怖からも解放され、世界は安全で快適な場所に映ります。
人が対人関係のなかで「私が正しい」と確信した瞬間、相手を「この人は間違っている」という思い込みにつながることで、権力争いが発生してしまいます。そして、反対に「自分の誤りを認めること」=「負けを認めること」と認識してしまうのです。そんな時は権力争いから降り、競争や勝ち負けの世界から出ることで自分を変えていくことが出来るといいます。
他者の評価は他者の課題である P147
他者の視線が気になる。私も他者の評価を以上に気にしていた一人です。
なぜ他者の視線が気になるのか?アドラー心理学での答えでは、人を見てどう思うかは他者の課題であり、「自分と他人の課題の分離ができていないから」です。他者の視線を気にして、他者の顔色をうかがいながら生きること、それはとても不自由な生き方です。裏を返せば「誰からも嫌われたくない」のが事実です。こうして他者の期待を満たすように生きることは自分に嘘をつき続けるということにもなります。他者の課題に介入することは自己中心的な発想と同じことなのです。
対人関係のゴールは「共同体感覚」である P178
他者を仲間だとみなし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることを、共同体感覚と呼びます。他者の視線が気になるということは課題の分離ができておらず、結果的に他人を見ているようで自分のことしか見ていないことになります。「自己への執着」を「他者への関心」に切り替えらなければならないのです。他人が何を与えてくれるのかではなく、私がこの人に何を与えられるかを考えることが共同体へのコミットです。しかし、気を付けなければならないのが、共同体は複数もっておくことです。目の前の小さな共同体に執着することなく「別の共同体」「もっと大きな共同体」を見つけて居場所を作っておくのがよいでしょう。
共同体感覚には「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」が必要 P226
自己受容・・・「できない自分」をありのままに受け入れ、できるように進んでいくこと
他者信頼・・・他者を信じるにあたって、いっさいの条件をつけないこと。
他者貢献・・・仲間である他者に対して、何らかの働きかけをしていくこと。貢献すること。
これら連鎖的に並べていくと、ありのままの自分を受け入れ「自己受容」するからこそ、裏切りを恐れることなく「他者信頼」することができる。そして、他者に無条件で信頼を寄せて、人々は自分の仲間だと思えているからこそ「他者貢献」することが出来る。「他者貢献」することにより「私は誰かの役に立っている」と実感し、ありのままの自分を受け入れることが出来る・・・このような良い連鎖を生むことが悩みからの脱出となります。
人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ P278
「自分は何のために生きているのだろう」そんな風に思ったことは誰しもあるのではないでしょうか?
一般的に人生に意味などはなく、アドラーが言うには、自由なる人生の大きな指針として「導きの星」というものを掲げるのだという。例えば、他者に貢献するのだという指針があれば道に迷うことはなく、人に嫌われてでも「自由」に自分らしく生きることが出来ます。
まとめ
以上、筆者が選んだ特に心に残るアドラーの教えを紹介しました。この本がロングセラーになっている理由の二つ目はやはり目から鱗のこれらの内容ではないでしょうか。
このブログを読んでくださった方の中には、「そんなこと受け入れられない」「違う」という青年と同じような反発を起こす方もいると思います。過去の私もそうでした。嫌悪感を抱くのも無理ありません。
しかし、今は納得できています。それは、自分の本当の気持ちに気づいたからです。私の場合は10年もかかってしまいました。同じように、どれだけ時間がかかってもいいです。
自分が変わりたい、本気でそう思ったときにこの本とゆっくり向き合ってみて下さい。
痛みを伴いながらも、きっとこの本を読んだことであなたのもとに確実に変われる瞬間がやってきます。
